民法改正中間試案(損害賠償との関係)

 

 

 平成25年2月26日、民法(債権関係)部会において,「民法(債権関係)の改正に関する中間試案」が決定されました。

 損害賠償請求との関係では、法定利率の改正中間利息控除の規定が盛り込まれていますが、中間試案では、法定利率は年3%(改正時)とされたのに対し、中間利息控除に用いる割合は年5%とされました。

 

1 法定利率

不法行為による損害賠償請求訴訟では、被害者は、賠償額に加え、事故の日を起算日とする法定利率による遅延損害金を請求できます。

 この法定利率は、現在年5%ですが、中間試案では年3%(改正時)に引き下げられました。

 

2 中間利息の控除

 一方、中間利息の控除というのは、逸失利益の算定の際に行う作業です。

 逸失利益は、将来、長期間にわたり得られるはずであった利益を、現在、一時金として請求するものなので、将来の価額を現在の価額に引き直す作業が必要になります。つまり、現在の一時金を運用すれば通常得られる将来の利息分は控除するわけです。

 最高裁平成17年6月14日判決は、将来の逸失利益を現在の価額に換算する際に、控除する中間利息の割合については、民事法定利率によらなければならないとし、現在は、年5%の割合で中間利息控除が行われています。

 しかし、中間試案では、法定利率は年3%に引き下げながら、中間利息控除の際の割合は年5%に据え置きました。

 理論的な説明も含め、今後の改正動向に注目したいと思います。

 

弁護士 岩井婦妃